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今回は先日入荷したALTEC 620A MONITORを鳴らしてみます。

5年くらい前に620Bを取り扱った記憶はありますが、620Aはかなり久しぶりですね。
ALTEC 620A MONITORは77年頃にペアで770,000円(ALTEC 620A MONITOR オーディオの足跡さんより)で販売されていました。
当時の大卒男子の初任給が月100,000円程度でしたので、「自分には高嶺の花だ」と思われた方も多かったのではないでしょうか。
(なお当時販売されていたトヨタの3代目カローラは820,000円ほどでした。車を買うのとほぼ変わりませんね。:トヨタ 名車ギャラリーさんより

ALTEC 620Aの発売されていた時代(70年代後半)の音楽メディアはLPレコードでしたが、今回はCDを使います。
中島みゆき「BEST SELECTION 16」(D32P6339)から悪女→見返り美人→土用波→時代と聴き、よく聴こえる組み合わせを考えてみましょう。

CDプレーヤーはDENONのDCD-2500NEを使用しました。
「ALTECを鳴らすなら、真空管アンプでしょ」という考えが頭にありますので、まずはTRIODEの真空管アンプから鳴らしてみましょう。

TRIODE TRK-3488(EL34仕様)

ALTEC 620A MONITORは103dbという高い能率のため、出力が小さなアンプでも鳴らしやすいスピーカーです。
TRK-3488(EL34)は6w+6wの出力しかありませんが、ボリュームを9時くらいまで上げれば、十分な音量を出せます。
TRK-3488との組み合わせでは細身ながら軽快に鳴ります。
最初からなかなかの好感触です。

TRIODE Luminous 84

音はあまり広がらず、スピーカーの内側へ集まりますが、そのためか密度が高いような印象を受けます。
音の誇張感が少なく、中域がなめらかなため、ちょうどいい感じで鳴ります。

TRIODE TRV-88SER

Luminous 84で620Aは不足なく十分鳴ると思いましたが、アンプをTRV-88SERに替えると、力強さと広がりが良くなり、楽しく聴けるようになります。
個人的には楽しく聴けてこそオーディオだと思っていますので、やはりTRV-88SERは好きなアンプですね。

TRIODE TRV-A300XR

これまでの3台もそれぞれよかったのですが、声の部分ではこのTRV-A300XRが頭一つ抜けています。
先に聴いたTRV-88SERよりも音の粒子が細かな感じで、歌に込められた情感がよく伝わります。
この組み合わせは良いですね。
歌が体に浸み込んでいくような感覚を覚えます。
いい気持ちで「時代」を聴き終えたので、そのまま電源を落として、家へ帰ろうかと思いましたが、トランジスタのアンプも聴く予定でしたので、試聴を継続します。

MARANTZ PM8005

これは聴く順番を間違えましたね。
トランジスターアンプから聴きはじめていれば、印象が変わっていたかもしれません。
先のTRV-A300XRが素晴らしい鳴りっぷりで、その後のPM8005もバランスは悪くないのですが、平凡な印象にしかなりません。

DENON PMA-1600NE

MARANTZよりはDENONの方が620Aに合う感じがします。
力強さとエネルギー感のある鳴り方がいいですね。

DENON PMA-SX1

重厚な鳴り方で、どっしりとした安定感を感じます。
全体的な音のクオリティでは、今回試した中では1番いいですね。
大編成のクラシックやロックなどダイナミックなエネルギーが求められる音源を鳴らせば、PMA-SX1の価値が分かるでしょう。
しかし、今回鳴らした音源は中島みゆきですので、TRIODE TRV-A300XRの方が個人的には合うと思います。

ALTEC 620A MONITORは軽やかで歯切れのいい音で鳴りますので、POPSやジャズを聴かれる方にお勧めです。
発売後40年ほど経った現代においても、その魅力は色褪せていません。
十分に音楽を楽しめるスピーカーだと思います。

担当S

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