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1974~97年まで生産されたYAMAHA NS-1000M。
総生産台数は20万台を超えるといわれているYAMAHAのヒットモデルです。

このNS-1000Mはシリアルナンバーが304,001番の個体で、おそらく80年代後半頃に生産されたものだと思われます。
製造後30年以上は経過していますので、少し手を入れてみることにしました。
今回はネットワーク部のコンデンサ交換とスピーカー端子の交換を行います。

~交換作業~


スピーカー背面からターミナルを外しました。
NS-1000Mで使用されているのは下記のコンデンサです。

無極性電解コンデンサ 47μF 2個
MPコンデンサ 3.5μF×6個=21μF
MPコンデンサ 3.5μF 1個
MPコンデンサ 2.7μF 1個

基板からコンデンサを取り外しましたので、外したコンデンサの容量をキャパシタメーターで測定してみましょう。
47μFの無極性電解コンデンサですが、測定値は52.0μFとなっています。

取り外したコンデンサの測定値:
無極性電解コンデンサ 容量:47μF 測定値:52.0μF/52.3μF 誤差+10%/+11%
MPコンデンサ 容量:21μF 測定値:22.4μF 誤差+7%
MPコンデンサ 容量:3.5μF 測定値:4.11μF 誤差+15%
MPコンデンサ 容量:2.7μF 測定値:3.28μF 誤差+18%

これらのコンデンサの製造上の許容誤差はおそらく+-10%だと思われますが、規格よりズレているものが多くなっており、経年による劣化が見られます。
製造後30年経過した電解コンデンサの信頼性はありませんので、交換が必要です。
MP(メタライズドペーパー)コンデンサは、一般的には寿命が長いと言われますが、それでも誤差が大きくなっています。

今回はドイツ Mundorfの無極性電解コンデンサとデンマーク JantzenAudioのフィルムコンデンサに交換します。


交換するコンデンサの容量も計ってみました。
無極性電解コンデンサ 容量:47μF 測定値:47.8μF/48.5μF 誤差+2%/+4%
フィルムコンデンサ 容量:21μF(15+6.2μF) 測定値:21.4μF 誤差+2%
フィルムコンデンサ 容量:3.5μF(3.3+0.22μF) 測定値:3.51μF 誤差+1%
フィルムコンデンサ 容量:2.7μF 測定値:2.68μF 誤差-1%

製造上の許容誤差は+-5%で、きちんと範囲内に収まっています。
Jantzenのフィルムコンデンサは誤差1~2%ほどで、素晴らしい精度です。

それではコンデンサを基板に乗せていきましょう。
元々付いている6個のMPコンデンサは作業の邪魔にならないので、配線をカットして残します。

接続が終わりました。
後で接着剤でコンデンサを固定します。

~スピーカー端子~
続いてスピーカー端子をバナナプラグ対応のものに交換します。

画像は元々の端子ですが、ネットワークへと繋がる配線が細いですね。
配線は変えない方向で考えていましたが、不安を感じる細さですので交換することにします。
在庫品のスピーカーケーブルortofon reference SPK-50で配線を置き換えます。

ネットワークのコンデンサとスピーカー端子の交換が終わりましたので、ターミナルを元に戻しました。

前編はここまでとなります。
後編ではアッテネーターのクリーニングを行います。
NS-1000Mのメンテナンス後編(アッテネーター洗浄

担当S

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