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昨年末に発売となったPhasemationの新型フォノアンプ EA-350を試聴させていただきました。
クオリティが高く気品のあるサウンドで、レコード再生におけるフォノイコライザー(フォノアンプ)の重要度を再認識させてくれました。
またMCカートリッジの実力を引き出すにはバランス接続が必要だと感じた試聴でした。

Phasemation EA-350 希望小売価格:390,000円(税抜)

~主な特長~
フォノバランス伝送対応MCトランス内蔵と豊富な入力端子:
数々の賞に輝いたMCステップアップトランス、T-2000のノウハウを盛り込んだMC昇圧トランスを内蔵し、フォノバランス伝送に対応しました。

入力端子は3系統を装備し、それぞれにMM/MCの切り替えが可能です。
さらに入力1,2はフォノバランス伝送に対応しております。

CA-1000、T-2000のデザインを踏襲したエレガントで強靭なシャーシ構造:
フロントには10mm厚スラントアルミパネル、1.6mm厚の銅メッキ鋼鈑シャーシベース、1.6mm厚の銅メッキ鋼 板カバーで構成された強靭な筐体構造を採用し、剛性の確保と磁気歪の低減を実現しています。

さらに CA-1000、T-2000 のエレガントなデザインを採用し、その再生音は優雅で圧倒的な臨場感、見通しの良いステージ再現、高分解能、高S/Nで音楽を楽しむことが出来ます。

オールディスクリートV-I/I-V変換型全段対称無帰還増幅回路:
現代の主流を占めている負帰還アンプは入力信号と出力信号を常に比較し、この差を増幅します。

しかし入力信号と出力信号の間には時間遅れがあり、これがTIM歪等を発生し負帰還アンプが音質的に満足できない原因の一つになっております。

無帰還アンプでは負帰還アンプのような比較/補正動作は有りませんので、構成する部品、回路に高い精度/技術を要求されます。

その結果、音源(レコード)の情報を余すことなく再生する事が出来、音楽の躍動感、ダイナミクス、陰影等の表現に優れた再生が可能になりました。

充実した機能:
CR2段の無帰還型Low Cut Filterを搭載
反りのあるレコード盤を音質劣化なく再生し、かつスピーカー(ウーファー)の揺れを防止します。

3種類の再生カーブ切替SWを搭載
イコライザー特性は従来のSTEREO用RIAAカーブに加え、モノラル専用の特性としてMono1 (DECCAレーベル等で使用)、Mono2(コロムビアレーベル等で使用) を装備しました。

これによりDECCAレーベルもコロムビアレーベルもより高忠実度再生が可能となります。

消磁回路搭載
Functionでデガウスを選び30秒程度レコードを再生することで帯磁していた鉄心入りMCカートリッジは消磁され音質がクリアーになります。

ステレオ/モノ切替用モードSW搭載
モノラルカートリッジを使用される時、オンにしてください。
EA-350公式ページより引用)

~試聴システム~
プレーヤー:DENON DP-1300MK2
カートリッジ:DENON DL-103R
フォノケーブル:ORTOFON 6NX-TSW-1010R/PHASEMATION CC-1000R
フォノアンプ:PHASEMATION EA-350/EA-200
アンプ:DENON PMA-SX1
スピーカー:B&W 805D3

~試聴曲~

上田正樹「悲しい色やね」
小林明子「恋におちて Fall in Love」

~聴いてみる~
PMA-SX1の内蔵フォノイコライザー(MC High)で聴いてから、EA-350に変えてみます。
内蔵フォノイコだと無味無臭といった鳴り方でしたが、EA-350ではダイナミックでありながら、細かなところもよく出ます。
また、音の広がりもよくなります。

当店展示品の下位モデルにあたるPhasemation EA-200とも比較試聴してみました。

EA-200は割とストレートな音ですが、EA-350には上位機らしい品の良さがあります。
豊かなサウンドとも言えます。

~フォノバランス接続を試す~
これまではOrtofonのフォノケーブル6NX-TSW-1010Rを使用してRCA入力で聴いていましたが、フォノバランス伝送を試すためPhasemation CC-1000Rへとスイッチします。

MCカートリッジはコイルが動くことによって発電する方式で、発電時コイルの両端に逆位相の信号が流れるバランス動作をしています。
その発電した0.3mV程度の微弱なバランス信号をそのままバランス接続でフォノアンプ・トランスまで伝送するのが理想ですが、通常のフォノイコライザー・トランスはRCA端子のアンバランス接続で受けるようになっています。
アンバランス接続で使用されるケーブルは一般的に単芯シールドのケーブルを用いており、信号線で+信号、シールド線で-信号を伝送します。
+信号(信号線側)はシールドされているため、ノイズの影響を受けにくいのですが、-信号はシールド線本体で伝送するため、外来ノイズの影響を受ける可能性があります。
フォノバランス接続では、+信号/-信号をそれぞれ単独の信号線で伝達することにより、ノイズの影響を回避し、ピュアな信号を伝送できます。
MCカートリッジの出力電圧0.3mVほどの微弱な信号にノイズが与える影響というのはとても大きく、MCカートリッジの真の実力を引き出すためにはバランス伝送が不可欠と言えるかもしれません。

ではバランス接続で聴いてみましょう。
ノイズの影響が減るためなのか、アンバランス接続よりも更に見通しがよくなり、よりフレッシュな表現になります。
ハイクオリティでありながら豊かな量感を持った実にいい音です。
DENON DL-103Rでここまで鳴るとは想像できませんでした。

~まとめ~
アンプ内蔵のフォノイコライザーとはクオリティの差が明らかで、レコード再生におけるフォノイコライザー(フォノアンプ)の重要さを再認識させられた試聴でした。
下位モデルのPhasemation EA-200よりも品があるサウンドで上位モデルらしさを感じさせてくれます。
アンバランス接続でも音はいいのですが、バランスで繋ぐと更に上の世界が見られます。
MCカートリッジの実力を引き出すにはバランス接続のフォノイコライザーやトランスが不可欠だと感じました。

担当S

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